Jindai Sugi -神代杉- : W2770

W2770 D680-940 t100

Jindai Sugi -神代杉-

──太古の時間を宿す、類稀なる銘木

神代杉は、日本列島において数百年から数千年もの長い歳月を地中や湖底に埋もれたまま過ごしてきた、極めて希少な埋没材です。

火山活動や地殻変動を契機に土砂中へ埋没し、通常の酸化分解プロセスを免れたことで、木材としての組織を保ちながら独自の深い色合いと質感を形成しています。

材色は一般的な杉とは大きく異なり、黒褐色から緑灰色、時に墨を落としたような深い黒を呈します。これは長い埋没期間における無酸素環境と鉱物成分の浸透によるもので、自然が生み出した唯一無二の変化です。木理は杉特有の通直性を持ちながらも、含まれた鉱物分や樹脂分の影響によって精緻で重厚な表情を示すことがあります。

比重は0.38前後と軽軟でありながら、乾燥後の寸法安定性に優れ、加工は極めて良好です。切削・研磨によって現れる微細な艶は、神代材に特有の上質な深みを持ち、塗装によってさらに奥行きを増します。時間を内包した材でありながら、現代の家具材としても高い実用性を備えています。

神代杉は年間の産出量が非常に限られ、同じ色調や木目の再現が不可能であることから、美術工芸、茶室造作、指物、家具用一枚板など、多方面で特別な価値を有します。
その存在は、単なる木材ではなく、太古の自然が現代に遺した「時間の結晶」といえます。